2011年12月11日日曜日

Analog2.0 電源の作成・・・その4

今の天気はくもり、気温 -1 度。あ~、曇ってて皆既月食見えない・・・

前回は抵抗が燃える事件がありちょっと慎重な syncton です、こんにちは。
それにしても最近寒いなぁ~

前回の失敗の事もあり今回は色々調べた事をまとめておこうと思う。

まず最初にちょっと気になっているのが秋月で買った放熱器
特にこれと言った理由もなく購入したものなので、使用する三端子レギュレータ(JRCのNJM7812AとNJM7912A)の熱をちゃんと逃がせるのかが心配になってきました。
JRCのサイトで発見した資料「三端子レギュレータについて」に熱対策が載っていたのでこれを元に調査開始。(日本語の資料で助かったよ~)
この資料の「5.放熱設計」が参考になりました。
結論から言うとこうなりました。
Tj = (PLOSS-1 + PLOSS-2) × (θjc+θCHHS) + Ta
Tj = (0.09W + 1.2W) × (5℃/W+0.4℃/W+15.8℃/W) + 25℃ = 52.348℃ 
この Tj がICチップの接合部の温度なのでOKみたいです。

忘れないうちに詳細をメモっておこう・・・
この計算はまた使うことがありそうなので Google ドキュメントの表計算に登録してみた:「アナログシンセ製作メモ」
■計算に使った値
VIN :入力電圧。今回は15V
IQ:無効電流。これはデータシートより 4.3 ~ 6.0 mA。今回の計算では 6.0 mAとした。
VOUT:出力電圧。今回は12V
IOUT:取出したい電流。今回は 0.4A。
θjc:IC接合部の熱抵抗 = 資料より 5℃/W
θCH:IC-放熱器間の熱抵抗 = 資料より 0.3~0.4℃/W(シリコン・グリース使用時)。今回は0.4℃/Wとした。
θHS:今回使用する放熱器の熱抵抗 = 秋月のホームページより 15.8℃/W
Ta:周囲温度 = 25℃
PLOSS-1 = VIN × IQ ----- IC固有の発熱
PLOSS-2 = (VIN - VOUT) × IOUT ---- 出力電流と入出力電位差による発熱
■この電源から0.4Aの電流を取出すとして計算すると
PLOSS-1 = 15V × 6mA = 15 × 0.006 = 0.09W
PLOSS-2 = (15V - 12V) × 0.4A = 1.2W
全体の発熱量 = 0.09W + 1.2W = 1.29W
(θjc+θCHHS) = 全体の熱抵抗 = 5 + 0.4 + 15.8 = 21.2℃/W
 Tj = 1.29W × 21.2℃/W + 25℃ = 52.348℃ 
このICの絶対最大定格の動作温度(Topr)が -40℃~+85℃ なので問題なさそう。
ちなみに、
Analog2.0指定の放熱器の場合:LSI 1919-9 の熱抵抗は 28.3℃/W なので、68.473℃。
放熱器なしの場合:接合部-周囲雰囲気間が60℃/Wなので、 108.85℃。
今回は購入した放熱器で大丈夫なようです。

次はダイオードとコンデンサについて・・・
前回はよく調べずに書いてしまったので調べた結果をまとめてみました。
これも資料にちゃんと書いてありました。

各ダイオードの役割は・・・
■D1,D8
・電源OFF時、コンデンサ(C6)から三端子レギュレータのOUT→INへの電流の逆流防止
データシートにはSBD(ショットキーバリアダイオード)が指定されている。
だとすると、+側にはコンデンサが無いので D1 は不要な気がするけど・・・
■D4,D6
・ラッチダウン防止
D4,D6はショットキーダイオードのような Vの低いものを使用することでラッチダウン(片電源が立ち上がらない)を防止できる。
■D2,D7
これは調べても解らなかったが、岩上直樹『達人と作る アナログシンセサイザー自作入門』(ラトルズ、2011年)によると、
”D2、D3、D5、D7は、ACアダプタに電流が逆流することを防ぐために取付けてあります。” (P.73)
と書いてある。これってどういう状況なんだろう。自作したモジュールのミスでACアダプタを壊さないためってことか・・・
それとも、ユーザの誤操作で別のACアダプタ(センターマイナス)を刺した時に電源回路以降の回路を壊さないように保護するためと考えるのだろうか?

試しに LTspice で入力電源の+と-を逆にしてシミュレートしてみたが、 D2,D7 がある場合は出力には電流は流れないが、D2,D7 を外して実験してみると出力に+と-が逆の電圧が現れた。
インターネット上の情報や書籍ではD2,D7を使用している情報を見つけられなかったけど、どこかに解説しているところはないのかな・・・
■D3,D5
サージサプレッサかと思ったがツェナーダイオードを使ってないので違うし、また入力ショート保護について資料には書いてあるけど、どういう意味か理解できなかった。
結局、D2,D7と同様の逆流防止なのか。
と言うことでダイオードは

  • 入力側で異常が発生した時に出力側に影響が及ばないようにする。
  • 出力側で異常が発生した時に入力側(ACアダプター)に影響が及ばないようにする。
  • IC固有の問題を解決する(ラッチダウン)

のために使用されているようだ。

各コンデンサの役割は・・・
■C1,C7
入力側の平滑用コンデンサだと思う。
(平滑のことはまだ調べていないので、今後の為に検索キーワードのみメモ)
リップル、リップル含有率、平滑コンデンサの容量(負荷抵抗、商用電源の周波数)
■C2,C3,C4,C5
・発振防止
これらのコンデンサは出来るだけ三端子レギュレータの端子の近くに付けるのが良いらしい。
■C6
発振防止用・・・なのかな?
この回路では、なぜ出力の+側に C6 に相当する電解コンデンサが無いのだろう・・・?
大塚明『サウンドクリエイターのための電気実用講座』(洋泉社、2008年)によると、
”負電圧用レギュレータは発振しやすい。” (P.215)
また、
”発振したら 4.7u ~ 22u 程度を入れてみよう” (P.215)
と書いてあるからマイナス側だけ発振防止用のコンデンサを追加したのかな。

それとも、ある程度の負荷の変動に対して出力を安定させるためのものなのだろうか?
だとすると、出力の+側にも C6 相当の電解コンデンサが必要となるだろうから違うか・・・
電源回路のコンデンサについてはインターネット上に沢山の情報があるけど、それぞれの状況によって違いがあるんだろうな。う~、わかんねぇ。

でも、ほんの少しではあるが理解が進んだ気がする・・・
よし、次回はユニバーサル基板に実装していこう。

では・・・

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